フードゥー教の環境のなかで育つ　

　ママ・エステラは何世代もさかのぼるフードゥー教実践家の長い系譜の後裔でした。彼女にとってこれが生き方そのものでした。自分の本当の姿を恥じることはありませんでした。むしろ「双頭のドクター」として認知されることを誇りにしていました。それは彼女にぴったりの称号というわけではありませんでし。人々は解決を求めて彼女のもとにやってきました。はるばる国の端からママ・エステラに会いにやってきた女性がいました。彼女は長い年月の間子供を欲しがっていましたが、これまで子宝に授からなかったのです。妊娠促進剤を飲んでも効果がありませんでした。不妊治療も大幅な効果がないのに費用はばか高かったのです。絶望のなかで彼女は祖母に頼ったのです。

　その夜、祖母は多産儀礼をおこないました。彼女はその儀礼を見るようわたしに命じました。わたしは若い女なので、そのエネルギーが儀礼をより効果あるものにするというのです。それは美しい儀礼でした。若いわたしの目には、魔術的で神秘的に映りました。女性と彼女の夫は町に引っ越してきて、定期的にハーブ治療が受けられるように祖母の近くにいることにしました。六か月後、ショップで彼女を見たとき、はじめて気がつきました。彼女は妊娠していて、お腹が大きくなっていたのです。このような奇跡を何度目撃したでしょうか。自分が成長していくなかで、そういったことは特別なことではありませんでした、祖母を失うまでは。