精神的な旅 

 わたしの個人的意見では――フードゥー教を実践する多くの人とこの感覚を分かち合えると思う――フードゥー教は個人的なもので、精神的な旅以上のものです。宗教の名のもとに、あなたは神、すなわち超常的かつ至高のものを崇拝します。この神は――多くの場合複数の神々は――何が正しく、何が間違っているか、何が善で何が悪かを規定します。しかしながらフードゥーの活動で、あなたはいかなる宗教も自由に実践できます。あるいはどの宗教も実践しなくてもいいのです。それでもあなたはフードゥー教を実践しているのです。

 フードゥー教の活動において、あなたはさまざまな根やハーブ、その他のエレメント(素材)の知識を用いて、個人的な魔術を作り出すことができるでしょう。こうしてあなたは周囲の精霊との結びつきを強めることができるのです。それは生き方といってもいいでしょう。あなたがすべきことは、あなたが望んだ結果を求めて実際の儀礼をおこなうことにほかなりません。

 フードゥー教を実践するとき、魔術は根や石、骨、あるいは人間から排出されたもの、たとえば血、汗などから生み出されます。それらのパワーを組み合わせることによって、あなたは生み出された力を活用し、望んだ結果を得ることができるのです。あなたが望む結果は、ヒーリングからジンクス(悪運ののろい)まで、愛の媚薬から金運まじないまで、その他いろいろとあります。あなたは自分が何を願っているか明らかにする力を持っています。あなたに必要なのはこれらエレメント(素材)の正しい組み合わせの知識であり、あなたが持っている力の受け入れです。しかしもっとも重要なことは、祖先の霊を認識することであり、敬意を払うことです。フードゥー教では、わたしたちの周囲につねに精霊がいて、あなたが彼らをどう扱うかによって、彼らはあなたのために尽くしてくれることも、危害を加えることもあるのです。それについてはあとでもう一度詳しく述べるとしましょう。今、フードゥー教が信仰とはあまり関係ないこと、運命を変えることのほうがより関係あることを理解するにとどめましょう。