フードゥー教とキリスト教 

 アフリカの奴隷が北アメリカに運ばれてきたとき、彼らは自分たちの宗教活動を許されませんでした。奴隷たちは洗礼を強要され、キリスト教徒になりました。カトリックかプロテスタントかは、奴隷主の信仰によりました。彼らはキリスト教のベールの下に自分たちの古い宗教を隠しました。

 キリスト教の多くの面はアフリカの伝統的な宗教とそれほど変わりませんでした。アフリカの奴隷たちはもともとひとりの創造主、神を信じていました。多くの人は世界が回るのを助けるパワフルな精霊を信じていました。カトリックの聖人たちをこれら精霊のもうひとつの面だと認識していました。聖書はパワフルな呪術の本とみなされました。そして今日でさえ、フードゥー教実践者は讃美歌を読みながら呪文を唱えているのです。

 ママ・エステルは敬虔なバプティストのクリスチャンであり、毎週日曜になるとわたしを教会に連れて行ってくれました。礼拝が終わると、わたしは人々が彼女のもとへやってきて、静かに話しかけるのを見ていました。ときには彼女は小さな物を手渡しました。ときには彼女にお金を手渡すこともありました。ママ・エステルにとって、また彼女が助ける人々にとって、キリスト教とフードゥー教の力への信仰は対立するものではありませんでした。

 フードゥー教を理解するにおいてもっともむつかしい部分に関してあなたの心を開くことができるのではないかとわたしは願ってきました。つぎのステップは実践をより深く探ることであり、最初の段階はわたしが話してきたエレメントを見ることです。つぎの章では、フードゥーの七つの重要なエレメントに集中しましょう。この本を離れてからも、フードゥーの研究と実践をつづけていけば、あなたはこのテーマに関してもっと学ぶことができるでしょう。しかし、いま、これら七つのエレメントがあなたの出発点です。