ヒューマノイド(ヒトモドキ)
プラーナはさまざまな惑星に住む40万種の人間のような種族と800万種の他の生命形態――植物や下等動物を含む――について述べている。40万種の人間のような形態のなかでも、人類がもっとも非力であることをわれわれは知っている。このことはもちろん、UFOと遭遇したときの話とも関係してくる。
UFO遭遇現象について語るとき私はヒューマノイド(ヒトモドキ)という言葉を使っている。またこの言葉をヴェーダの人間に似た種族にたいしても使用している。UFOのケースでは、ヒューマノイドは奇妙なもの、あるいはぞっとするものとして描かれることもあれば、美しいものとして描かれることもある。ヴェーダのヒューマノイドも、外見はさまざまである。たとえばガンダルヴァ(Gandharvas)やシッディ(Siddhis)などがそうだ。彼らの外見は人間で、とても美しい。そのほかは、醜いもの、恐ろしいもの、異形のものばかりである。キムプルシャ(Kimpurusas)と呼ばれる集団があるが、キムは「疑わしい」、プルシャは「人間」を意味している。
ヴェーダの多くのヒューマノイド種族はシッディと呼ばれるパワーを持つといわれる。地球上の人間もまた潜在的にパワーを持ち、その一部は他者より大きな能力を持っている。つぎに挙げるのはこのシッディのリストである。それらはUFO現象に帰せられるパワーと直接関連しているように思われるので、あとの章で詳しく論じたい。
① 心のコミュニケーションと思考のリーディング。これらはヴェーダのヒューマノイドのなかでは一般的である。
② 遠くから見たり聞いたりすることができる。
③ ラギマー・シッディ(laghimā-siddhi)空中浮揚と反重力。またたいへんな重さを作り出すパワー。
④ アニマ―(animā)とマヒマー・シッディ(mahimā-siddhis) 対象物の大きさや生きているものの体をその構造を壊さずに変える能力。
⑤ プラープティ・シッディ(prāpti-siddhi) 中間の区域を通ることなくある場所から他の場所へ対象物を動かす能力。このパワーは平行世界へ、あるいは高次元世界へ旅行する能力と関連している。
⑥ 物理的に存在するものに妨げられることなく直接物体を動かす能力。この能力を使った移動はヴィハーヤサ(vihāyasa)と呼ばれる。またマノージャヴァ(mano-java)と呼ばれるタイプの移動がある。それは心の動きによって体が直接遠地に移されるものである。
⑦ ヴァシター・シッディ(vasitā-siddhi) ヴェーダのなかで指摘される遠隔地から催眠術的にコントロールするパワー。
⑧ アンタルダーヴァ(antardāva)あるいは見えないこと。
⑨ 異なる形態をとる能力、または幻の形態をとる能力。
⑩ 他人の体に入る能力、そしてそれをコントロールする能力。微細な体(説明は以下のごとき)を用いて可能。
ヴェーダに登場する多くのヒューマノイドの種族は、地球内部の、地球上の、あるいは地球の表面の真下の平行世界や高次元世界に生きているといわれる。ヴェーダに描かれた驚くべき点は、シッダやチャーラナ(Cāranas)、ウラガ(Uragas)、グヒヤカ(Guhyakas)、ヴィディヤーダラ(Vidyādharas)といった異なる種族が、習慣や外見がおおいに異なっているにもかかわらず、しばしばともに生活し、働いているとされることである。
これらの種族はみなさまざまなシッディ能力を有している。過去、多くのヒューマノイド種族が訪問者として、あるいは居住者としてこの地球上に見られた。実際、地球上の広大な地域が各種のヒューマノイド種族に管理され、繁栄していた。これがラーマーヤナの基本的な場面設定であり、その場面において神ラーマチャンドラ(Rācandra)は、ランカー(Lankā)の王国から妻シーター(Sītā)を救出する。妻はラーヴァナ(Rāvana)という名のラークシャサ(Rāksasas)に連れ去られていた。ラークシャサは40万種のヒューマノイドのひとつであり、ランカーは当時彼らによって支配されていた。
ヴェーダのヒューマノイド種族の寿命は長かった。ヴェーダ文献によると、数千年前、人間は現在よりずっと長く生きていた、たとえば、五千年前、人間の寿命はおよそ千年だったという。地球の外部に生きるヒューマノイドとなると、1万年がざらだった。デーヴァと呼ばれる種族は、宇宙の支配者であり、何億年も生きることができた。
インドの人々は現在も、古典的なヴェーダ・タイプのヒューマノイドと遭遇すると報告されている。付録3で、二つの事例、天然痘婦人とジャラデーヴァタ(Jaladevata)について論じたい。