ジャイアント・セコイア
数年前、わたしは木から心を射貫くような洞察を得た。十代の巡礼者をいっぱいに乗せたバスでわたしはカリフォルニアのシエラネバダ山脈にのぼり、それから地上で二番目に大きな木、グラント将軍と呼ばれるセコイアの故郷であるキングス・キャニオン・ナショナルパークへ行った。将軍は直径が12メートルもあった。根本を大人たちが手と手を結んで囲うと、20人を要した。もし幹の中をからっぽにしたら、それを埋めるのに15万9千個のバスケットボールを要した。あるいは洞(うろ)を埋めるだけのガソリンを使えば車は地球を三周半回ることができた。ある推定によれば、将軍は1700年も立っているという。
もしあなたが幹を見上げたら、樹皮の大きな一部が無数の森林火災によって焦げて黒くなっているのが確認できるだろう。これらの火災は小さな木々を焼き殺したが、この巨大セコイアは耐え忍んだのである。もし成功したいなら、逆境にも負けずに成長するという意志が必要であるという考えが思い浮かんだ。失敗したとき、面目を失ったとき、あるいは裏切られたとき、もしあきらめるという誘惑にあらがったら、そしてスピリチュアルな成長を望むなら、生き延び、成功し、智慧と信仰を深めることができるだろう。
グラント将軍の木についた焼け焦げた跡は戦闘のときの傷とあなたは言うことができるだろう。しかしそれらは装飾でもあった。だからこそ木々は識別できたのである。大いなる魂は賞賛を求めない。しかしときにはそれらは美点として認識される。この木は1926年、カルヴィン・クーリッジ大統領がグラント将軍を国の公式クリスマスツリーに認定したとき、その長寿が表彰された。1956年、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領は、それを命を国に捧げた人々のための国立聖堂かつ生きた記念碑に指名した。グラント将軍の木からわたしたちは丁重に賞賛を受け取り、しっかりと根を張り、何があろうと成長しつづけることを学んだ。
グラント将軍の木からそんなに遠くないところに世界最大の木、シャーマン将軍の木がある。それは2200年以上もそこに立っている。シャーマン将軍はローマ帝国が没落したときも、モンゴル人の侵攻も、アメリカ革命も、南北戦争のときも、生きていたのである。それはヨーロッパ人がアメリカの土を踏むよりもはるか前に立っていたのである。もしシャーマンの木の幹を水で満たしたら、27年間、毎日、六人家族の各々の風呂を満たすことができるのである。180センチの人がシャーマン将軍の木を見上げると、比率的にはネズミが180センチの人間を見上げるのとおなじになる。わたしたちの現実の認識がいかにこの世界における立ち位置に対し、またわたしたちの背の高さに対し相対的であるか知り、はっとさせられる。
わたしはいっしょに旅行している十代の若者たちにたずねた。「シャーマン将軍がそんなにも長く生き、見聞きできるとして、人間的なメッセージを発することができるなら、彼はどんなことを言うだろう」
少年たちからユーモラスな言葉がいくつか出たあと、14歳の少女ラクシュミーが手を上げた。「木が私たちに向かって叫ぶのを聞いたことがあります。『どうしてあなたがた人間は喧嘩したり、表面的なことに取りつかれたりして時間を無駄にしているのか。あなたがたの人生はとても短い。本当に重要なことに集中しなさい。つまりあなたがたの霊的な関係です』と」。ラクシュミーは感情をこめて語ったので、本当に彼女を通して木がしゃべっているのではないかと思ったほどだ。