王様と貧しい男 

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 バガヴァッド・ギーターを語る何年か前、主クリシュナと賢者のグループはミティラ王国を訪ねた。その国にふたりの信者が住んでいた。ひとりはシュルタデーヴァという名の祭司階級の貧しい家族(バラモン)の一家の主人だった。彼は家族に必要なことをするのに時間を費やした。しかし毎日彼らを食べさせるのがやっとだった。彼らはそれでも主への愛を享受する幸せな家族だった。

 もうひとりの信者はバフラシュヴァという名の王様だった。彼は家族とともに豪勢な暮らしをしていた。彼らの主と国民への愛は純粋だった。両方の家族とも異なる家をつくり、そこを信仰の場にしていた。

 両方の家族のことを知ってうれしく思い、シュリー・クリシュナはたいへんな距離を移動して彼らのもとを訪ねる決心をした。到着したとき、バフラシュヴァ国王と貧しいブラフミンのシュルタデーヴァを含む町中の人が主を歓迎した。ふたりの信者は同時にクリシュナに近づき、同時に家に招待して楽しませたいと申し出た。クリシュナは両方の招待を受け入れた。

 王宮で主クリシュナと賢者たちは堅固な黄金の王座に坐るようすすめられた。国王はお辞儀をして、すばらしい花飾り、精巧な衣服、宝石をちりばめた装飾品を差し出した。国王の腕前のいいシェフたちによって作られた祝宴の豪勢な料理が黄金の皿に盛られて出された。そして召使いたちが、柄の部分が銀でできたヤクのしっぽの扇でクリシュナに風を送った。もっとも有能な音楽家や曲芸師、俳優らがステージでパフォーマンスを見せた。国王と王妃は心のこもった祈りをとなえ、主クリシュナを迎えるのにいかに自分たちがふさわしくないかを説明した。「わたしたちは世俗的な活動に夢中になっているので、あなたは慈愛の心でわたしたちを救いに来たのでしょう」と彼らは言った。もちろん彼らは世俗的な活動とは無縁だった。彼らは自分たちの富が神への奉仕活動のために、また国民の幸せのために委託された聖なる所有物と考えていたのである。彼らは純粋に謙虚で、献身的だった。

 だれもが物語を聞くために前かがみになった。タラバイは自家製の土のコップに冷たい井戸の水を入れてみなに配った。

 わたしはそれからシュルタデーヴァのクリシュナの歓迎の話に戻った。シュルタデーヴァはタラバイの家とあまり変わらない土の家に住んでいた。しかし国王と同様に熱狂的にシュリー・クリシュナを迎え入れた。彼と彼の家族は持っている物のなかで一番いいものを捧げた。黄金の玉座ではないけれど、床の上の草のマットだった。グルメ料理ではなかったが、簡素なごはんはあった。銀の取っ手のヤクのしっぽの扇はなかったが、シュルタデーヴァはクリシュナと賢人たちを彼が着ていた古いショールで扇いだ。シュルタデーヴァには曲芸師も宮廷付きのパフォーマーもいなかったが、踊りや歌、空中に布を振り回してゲストを楽しませた。国王と王妃のようにシュルタデーヴァと妻は心のこもった祈りをささげた。

「純粋な意識を持ち、つねにあなたのことを聞き、歌う人々、愛をこめてあなたに奉仕する人々、他者とともにあなたのことを語る人々、彼らの心の中にあなた自身を表わしてください。

 あなたはすべての生きるものの心の中に生きているけれども、自身の利己主義によって妨げられ、あなたは隠れたままです。だれも世俗的な力、知識、富であなたを捉えることができません。なぜならあなたは誠実に奉仕する人々の心の中にのみあなた自身を表わすからです。おお、シュリー・クリシュナよ、わたしたちがどのようにあなたに、そしてあなたが愛する人々に奉仕したらいいか、教えてください」

 クリシュナはシュルタデーヴァと家族に、彼がもっともうれしいのは、信者たちが彼のことを覚えてくれる時で、また敬虔な信者とその他すべての人々に注意を払って仕えることだと説明した。

 クリシュナは国王バフラシュヴァとシュルタデーヴァ、両者におなじほど喜びの感情を持った。というのも彼らは同程度の信仰心をもっていたからである。クリシュナは彼らがどのくらい持っているか、彼らが何をしたかについて測ることはなかった。数日間彼らの家に滞在したあと、彼と賢者たちはこの国を去った。

 

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