8日目
巡礼者はいつものように5時に起床する。そして1時間後には、ゲトゥクラ(rGas-thug-la)峠へ向かって登り始める。それからゲトゥクナン(rGas-thug nang)の谷を降りて、だれもがシンジェ・ギャマ・ダン・メロン(Shin-rje rgya-ma dang me-long 閻魔王の秤と鏡の意)という場所の横で立ち止まる。
崖の脇に狭い導管のような穴があった。岩から垂れたたくさんのタルチョ(祈祷旗)がその入り口を隠していた。垂れ下がっている重いものすべてを揚げると、巡礼者はみな男も女も腸管のような岩だらけの穴に入り、這いつくばって進んだ。そこを抜けると崖の露出したところに出るのだが、足は後ろから引っ張り、頭は垂れ下がるという状況になってしまう。子どもが抜けてくれば、おとなたちは岩の飛び出た部分に届くよう助けてやる。
つぎに、みな少し下の方に降り、大きな石を拾い上げる。このようにして、石を背負ってマニ石列の周囲をまわる。石はかなり重いので、男たちは女の背中に石を載せることもある。ときには二人の女がひとつの岩を運ぶこともあった。
ひとりの僧侶を含む巡礼者のグループは、アヴァロキテーシュヴァラ(観音)のマントラを石に刻み、それをマニ石列に奉納した。
数時間歩いて巡礼者たちはチュンゴン川の岸辺にたどりついた。彼らは川を渡り、しばらくするとダンドゥ・ワンチュグの聖地に着いた。巡礼を終えようとしている人々は坂を上ってグル寺に到着する。そうでない人々は巡礼をつづけた。
以上が鉄の馬の年の第九の月にアニ・マチェンの巡礼で起こったすべてのことである。
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