104−105
(テントの前で巨大な犬がウーと唸っている)
「いま驚かした犬だな」(ギャツァ)
「こいつも妖怪変化かもしれんぞ」(センロン)
(センロン、テントに向って叫ぶ)
「おーい、だれかいるか? われはセンロンだ。頼みがあって来た」
(中から声が返ってくる)
「フール、こっちへ戻っておいで! このふたりを追い立てちゃだめよ!」
(すこし幕を開けて外を見る)
「なぜあなたたちが来たか知ってるわ」
(父が息子を疑いの目で見る)
「見ないでよ、親父。おれ何も言ってないから」
「でも知ってるなら話は早い」
(つぶらな瞳で男たちを見る美少女)
(犬を撫でながら少女は言う)
「話すこと、何もないよ。死んでも行かないからね」
これがセンチャム・ドゥクモ。リン部落キャロ家の娘。
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