016−017
(驚いた熊の妖怪)
「あ、おまえ! あのクソガキじゃねえか!」
(ケサルも驚く)
「おまえこそ、まだ死んでいなかったのか!」
(ケサルと大熊、互いに指を指す)
「われらリン国であばれていたくせに、なぜいまここにいるんだ? いったいどういうことだ?」
「そういうおまえこそ、おれの縄張りを荒らしたんではないか!」
(大熊、突然に天に向って両手を広げる)
「ルツェン大王よ、われに力を与えたまえ!」
(すると波が荒れてくる。筏はゆらゆらと揺れ出す)
ドーン! (と高波が襲ってくる)
(つぎの瞬間、大熊はビルほどの高さがある巨大熊に変身)
「やつ、こんなにも大きくなったぞ!」
(ところが)
「いや違う! ぼくたちが小さくなったんだ!」
(ケサルと愛馬は小さくなって、丸太のあいまに落ちてしまいそう)
(見下ろす巨大熊、何かを思い出したのか、わなわなとふるえる)
「ずいぶん長い間見なかったな! だからこんどはおまえの目を見開かせるぞ」
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