夢幻シャーマン People

夢の中で物語を授かる吟遊叙事詩人
チベットの吟遊叙事詩人ツェラン・ワンドゥは、夢の中で毎晩、
厖大な物語を神から授かった。
彼が吟遊詩人になった経緯はきわめてシャーマン的だった。
8歳のとき、遊牧村がカザフの匪賊に襲われ、母親ら家族の大半が殺された。
13歳のとき、聖なる湖ナムツォを巡礼中、彼は突然意識を失い、夢境をさまよう。
たまたま居合わせた三人の女性に助けられ、活仏のもとに運ばれた。
活仏によって浄化儀礼を受けたところ、少年がつぶやいていたたわごとは、
形を成した物語となった。
それはまぎれもなく、チベットの民族叙事詩『ケサル英雄王物語』だった。
以来彼は放浪しながら叙事詩を吟ずるようになった。

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