ラン氏犀角宝巻(ラン・ポティセル) 宮本神酒男編訳 

チャンチュブ・デコル、カルデンマを娶る、またその後裔 

 

(略)

 

 チャンチュブ・デコルが83歳のとき、ケサル王が贈り物を持ってやってきた。

「私には後継ぎがいません。私にシッディを授けてください。尽きることのないシッディの食べ物をください。切れることにないシッディの体力をください。不安定なところのないシッディの精神をください。乾くことのないシッディの甘露の口をください。刀や槍で傷つくことのないシッディの身体をください」

 チャンチュブ・デコルは、頭蓋骨を組み合わせて作った頭蓋鼓を渡し、避穀術を教え、口の中が乾かない甘露水の法術や刀や槍で傷つかない法術、無馬如風(飛翔)法術などとシッディを授けた。それらを会得したケサルはリン国に戻っていった。


(つづく)