シャウ・ツェラン(Sha bo tshe ring)
ロンジャ・マル。68歳。農民。ふだんは妻の実家があるガッセル村に住む。
1950年頃、ファルデン活仏(dPal ldan)のハゴシ儀式によってハワになった。小ハワのカジョ・ツェラン(mKha' 'gro tshe ring 23歳)もプァルデン活仏によって半世紀後の1996年にハゴシ儀式を受けている。
ハワの前任者は存命しているが、目がよく見えなくなり、足が悪くなったので廃業した。
悪霊が憑いたときや物がなくなったときは、ハワに相談する。
神が憑依しているとき、頭を傷つけて血を流す。そんなときは怒っているわけではない。本気で怒ると、お腹を切って血を流す。口の中を切ることもある。頭から流れる血が止まると怒り出す。神が去ったあと、傷が癒えていることがある。
1999年夏をもって引退した。
●神語
ラマ・ドルジェチャン(金剛持)がわが舌の上に宝瓶の玉露をお垂らしになり、金剛杵を頭上に置かれたときのことは口外しない。作物のこと、家畜のこと、外敵、村の中で起きたできごと、わたしはすべてを知っている。ロンジャ三百家よ、よく聞け。四十年間のあいだによくわかった。共産党の言うことはそのまま受け入れたほうがいい。わたしの言うことを聞くなら話をしよう。聞かないなら、話はしない。気をつけたほうがいい。過激な人は刑務所に入れられてしまうだろう。暴れ馬の脚が結ばれてしまうように。皇帝(中央政府のこと)の命令は守ったほうがいい。
だが神は信じなければならない。酒を飲むときはより気をつけて。みな喧嘩はしないように。チベット人の話を信じてはいけない。それはすべての馬に乗るようなもの。中のいいものを外に持っていってはだめ。外のものを中に持ってきてもだめ。最近のこどもは母親の言うことを聞かなくなった。そんな話をわたしは何度しただろうか。
わたしチェハ・ハラガルボはカルデン・ジャンツォのいいつけをよく守っている。ロンジャ三百家の男が呼んだとき、女が呼んだとき、わたしはすぐにやってくるだろう。今年は大雨が降るかもしれないから、みな気をつけて。でも大丈夫。皆死ぬときはいっしょ。勝つときもいっしょ。