ラブジエ(Rab rgyas

ニェントフ。78歳。農民。

1949年頃、先代ハワ(ラブジェの父。当時67歳)が亡くなったので、村人は若者全員を神廟に集め、一四日間こもらせ、経文をよませた。そのなかから神がかった人、すなわちラブジェを選び、ケンチェン活仏がハゴシをして承落した。ラブジェがハワになる前、ラブジこの父はテル(伏蔵袋)を埋めるためシャチョン山に登った。そのとき土を掘ると、銀鈴が出てきた。これはラブジェがハワになる前兆とみなされた。

 

●神語

ニェンチェンが憑依すると、つぎのような神話を語った。

 「われはニェンチェン・ンゴラ・ユツェ(gNyan chen sngo la g-yu rtse)である。天空では雷に乗り、中空では鳥に乗り、地上では馬に乗って駆ける。夏の三つの月のあいだ、黄色の花を食べます。秋の三つの月のあいだケンパという植物を食べます」と宣して、村のいいこと、悪いことについて言う。

 これらはチベット語で語られるので、一般の村人も理解できる。トランスから抜けるとき、ハワは頭を何度も揺り動かす。みなでまわりから押さえないと倒れてしまう。神がかつているときの記憶はない。もし翌日記憶があったら、本当のハワではない。酒は飲まない。

ニェントフにはほかにジグメ・ザンポ('Jigs med bzang bo 56歳 農民)というハワがいる。