ンガッパ

 レコンにはニンマ派在家修行者ンガッパが千人もいるという。ニンマ派ジャンロン・チョンゴン寺(lCang lung khyung dgon pa)の年五回の集会のときには580人集まるというから、千人というのは誇張ではないだろう。集会というのはつぎの通り。

 正月7日~22日のマニ会。3月13日~20日の修供会。5月10日~13日の静猛明王会。6月1日~5日の勝楽金剛会。9月21日~24日の八大法行会。

 チュマ村のンガッパ、ジャムヤン・ジャツォ('Jam dbyangs rgya mtsho 65歳)は近隣に聞こえた法力にすぐれたウェザー・コントローラー型のンガッパ。洞窟にこもって修行を重ね、41歳のときにウェザー・コントロールをはじめた。いままで失敗したことがないという。報酬として収穫期に各家からニ袋の小麦粉をもらう。

 じっさい筆者はジャムヤンに空の白雲を雲散してくれないかと頼んだ。「必要でないときに力を使うと、神の怒りをかい、天罰が与えられるかもしれぬ」と躊躇しながらも、ともしたロウソクを卓上に置いてマントラを唱えながら祈祷した。白雲はしだいに小さくなり、やがて消えた。

 彼はその能力の秘訣についてつぎのように説明した。

 四大元素の土、水、火、風が相克し、あつまって暴風雨となって農作物に被害をもたらす。さて、世界の本性は心の智慧の本性である。だから自己の四大元素を調和させることによって、外界にある雲の四大元素に働きかけることができる。つまり外部の気と内部の気は調和しているのである。

 調査した八村のうち、マパ村はもっとも多く、三百人ものンガッパがいる。なかでも有名なのがラマ・ツェラン(bLama Tshe ring)。