夢解き

 

この場所は、夢。

現実(うつつ)と思うのは眠る者だけ。

 

死が夜明けのようにやってくる。

あなたは起きて笑い飛ばすだろう。

あまりに悲しみに満ちていたから。

 

だがこの夢はすこしちがう。

この世という幻想のなかで

何もかもが残酷で無意識で

死の目覚めのあともそれらは消えていかない。

 

だれかが言う、

夢は解釈されるべきだと。

下卑た笑い、

即物的な、性的な欲求、

それらがヨゼフの上着を破るのだ。

それは手強い狼に変身し

あなたに迫ってくるだろう。

 

それは少年の遊びのようなもの。

すばやいパンチを食らったら

仕返しをせずにはいられない。

 

こちらの世界では割礼が

あちらの夢の世界では去勢となる。

 

こちらの世界はいやなことばかり。

いつも生活している町で男は眠る。

男はその夢のなかで、また違う町で生活している夢を見ている。

夢のなかでは、眠っている町のことを覚えていない。

この夢の町のことを彼は現実だと考えているのだ。

 

この世界はこのような眠りのなか。

 

あまたの消えかかった都市の埃が

われわれに降りかかってくる、

まるで一瞬のまどろみのように。

けれどもこれらの夢の都市は、はかなく消える。

 

われわれのはじまりは鉱物だった。

それからわれわれは植物になり、

動物となり、

人間になったのだ。

それなのにいつも前世が何だったか忘れている。

春になると、

緑であったことをかろうじて思い出すくらいのもの。

 

こうして若者は教師になる。

こうして赤ん坊はオッパイに吸い付き

欲望の秘密を知らず

本能的に感じ取るのみ。

 

人類は知性の階段をのぼり

進化の道を歩んできた。

けれど、まだ、われわれは睡眠のなかにまどろんでいる。

夢の中で目覚め

夢から醒めたつもりになっている。

 

そのことに気づけば、われわれは恐れおののき

われわれがだれであるか、いっそうわからなくなってしまうのだ。