地球内部への旅 05 

ヘルラ王 

 

(1)   

 ある日、ヘルラ王は森にたったひとりでいた。彼は一日中騎士たちと狩りを楽しんだあと休息していたのだ。木にもたれかかって座ったまま、彼はうつらうつらした。

 葉がカサカサいう音を聞いて王は目覚めた。森の奥からヤギが現れた。それに乗っているのは赤ら顔で、顔面いっぱいに髭を生やした、背が低く、丸々とした小人だった。頭上には王冠が載っていた。

 こびとはヘルラ王の前でとまり、自己紹介をした。わたしは小人王であると彼は告げた。ヘルラ王についてはいいことばかりを聞いている、よって王の結婚式に参列することでブリトンに敬意を表したいと小人王は述べた。

 ヘルラ王は笑い、結婚する予定はないよ、と言った。しかし小人王は、言葉はすぐに届くだろう、つまりフランスの王女などの結婚の申し込みがあるだろうと主張した。フランスの大使がちょうどいま彼のお城に近づいているところだった。

 そして小人王は誓いを立てた。もし一年後にヘルラ王が彼の結婚式に出席するなら、このたびのヘルラ王の結婚式に出席しようと。答えを待たずに小人王はヤギをむち打ち、それに乗ったまま森の奥へ戻った。

 小人たちはいたずら好きで知られていた。だからこれも悪ふざけなのではないかとヘルラ王は思った。しかし彼が城に戻るやいなや、フランスの大使がやってきていて、結婚を申し込んだのだった。王は快諾し、結婚式に向けての準備を開始した。


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