(3)

 オーウェンが罰を受ける番がめぐってきた。魔物たちは彼をつかんで炎の淵まで運び、そこに落とした。彼は炎の中を垂直に落ちていった。耐え切れないほど熱かった。硫黄の蒸気が彼の肺を焦がした。苦痛の中で彼は叫んだ。「イエス・キリストさま、生きている神の子よ、罪びとなるわたしに憐みを!」。するとまるで見えない手によって救い出されたかのように、淵から体が持ち上げられた。

 魔物たちはつぎに彼を火の川に連れていった。川には細い――足の幅の――橋がかかっていた。「ここは地獄の川だ」と魔物たちは言った。「渡れるものなら渡ってみろ」。オーウェンは渡ろうとした。しかし橋はあまりに細く、滑りやすく、足場を固めることができなかった。炎は下から噴き出していた。魔物たちは彼をなじり、石を投げつけてきた。

「イエス様、お助けください」とオーウェンは言った。すると橋は広くなった。まるで見えない手で広げられたかのように。彼は急いで橋を渡った。

 渡った側の土手には壁があった。壁には門があり、それが開いた。中に入るとそこは庭園だった。そこで彼は天使と会った。天使は地底の楽園へようこそと言った。ここが一時的な住まいだと天使は説明した。煉獄で浄化され、天国へ向かう亡魂にとっての途中駅だった。天使は遠くにかすかに見える門を指さした。天国の門である。

 オーウェンはここに残れないかとたずねた。それはだめだ、と天使はこたえた。オーウェンは現世界に戻り、残りの人生をまっとうしなければならなかった。肉体と骨を放棄しなければ地底の極楽に住むことはできなかった。

 それから天使は天国の食べ物を彼に与えた。オーウェンは恍惚としてめまいがした。もう洞窟に帰る時間だった。

 朝になり、修道僧たちは門を開けて洞窟の床アの上に寝ているオーウェンを発見した。彼らは彼を起こし、修道院に送った。そこではさらなる断食と祈祷の修練をしなければならなかった。

 ついに修道僧たちが騎士に別れを告げるときがやってきた。修道僧のひとりが舟を漕いで島から陸に送った。彼は馬に乗り、家へ向かった。

 オーウェン卿は「新しい人」だった。彼の罪は浄化されていた。天国の重みから解放されていた。そして神の恩寵を取り戻した。

 


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