(2)

 森の中からふたりの男が現れた。彼らはジョッキの酒を飲みつつ談笑しながら歩いていた。リューベンが隠れている木の近くで彼らは立ち止まり、穴を掘り、何かを埋めた。

「すげえもんを盗んできたもんだ!」男のひとりが言った。「さあ、祝杯でもあげに行くか」

 彼らが去ったので、リューベンは木から降りた。「泥棒たちが戦利品をここに埋めたようだな」と彼はひとりごとを言った。「どうしたらいいもんだろう?」

 彼は地面を掘り返し、バッグを発見した。中には大きなエメラルドが入っていた。それは生きもののように輝き、脈打っていた。

「なんというすばらしい宝石だろうか」リューベンは言った。「たいへんな値打ちがありそうだ。でもこれは元の持ち主に戻さなければならない。少なくともそうなるように努力すべきだ。賢者たちからそう教わったのだから」

 エメラルドをポケットに入れ、彼は男たちが来た方向へ進んだ。

 まもなくして彼は森から出て波打つ丘のほうを見た。道はその中を通っているようだった。そして遠くにそびえるのは城の城壁だった。灰色の霧が空を覆っていた。お城以外に集落のようなものは見えなかった。ともかくも彼はそちらへ向かって歩き出した。

 彼がお城に着いたとき、そこに住む人々の間で大騒ぎが起きていた。守衛によると泥棒が侵入したということだった。王国に幸運をもたらす王室のエメラルドが盗まれたのである。取り返した者には報奨を授けると国王は言明していた。

「どんな褒賞なのですか」とリューベンは聞いた。

「姫と結婚することができるそうだ」

「本当に? エメラルドのことなら知っていますよ」

 王室に入るのを許されたリューベンは国王にエメラルドを渡し、どうやって手にしたか説明した。国王はエメラルドを取り戻すことができてことのほか喜んだ。そして言葉にたがわず、レイチェルという名の娘を呼び、リューベンに紹介した。そして彼らの婚約を発表した。まもなくしてふたりは結婚した。

 幸福な結婚だった。リューベンとレイチェルは相性がとてもよかった。彼らはお城の一翼に暮らした。何年かの間に三人の子供が生まれた。

 


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