ソロモン 地球内部への旅 20 

リチャード・シェイヴァー 

 

(1)

 シェイヴァー・ミステリー(あるいは中傷する人々にとってはシェイヴァーのインチキ)は編集者への投書にはじまる。何年ものちに、レイ・パーマーはその投書のことを回想している。

 

 1943年12月までに私は、イリノイ州シカゴのジフ・デーヴィス出版社から発行されていたいくつかのパルプマガジンの編集長になっていた。これらの雑誌のひとつが1926年創刊のアメイジング・ストーリーズ誌だった。ある日一通の投書が届いた。それには「世界から失われるべきではない」という「古代アルファベット」のことが詳しく書かれていた。その封を開けたのは編集主幹のハワード・ブラウンだった。彼はそれをゴミ箱に投げ込みながら、こう言った。「世界は頭のイカれた連中だらけだな」
 壁越しに私はイカれた連中(クラックポット)という言葉に磁石のように引き付けられた。私はゴミ箱から捨てられた投書を回収した。

 

 読み終わったとき、レイ・パーマーの目は輝いた。アメイジング・ストーリーズ誌の次号に投書は掲載されることになった。読者の反応は喜ばしいものだった(ブラウンにとっては不愉快だったかもしれないが)。「古代のアルファベット」に熱狂した何百もの読者からの投書が編集部に殺到した。

 パーマーはさっそく投書の送り主――リチャード・シェイヴァーという者――とコンタクトをとり、さらなる情報を求めた。その結果、シェイヴァーからの第二弾の投書が届いた。1万語もの長い原稿である。そのストーリーはじつに驚くべきものだった。

 こうしてシェイヴァー・ミステリーは――パーマーはそれをいままで語られたもののなかでもっともセンセーショナルな真実の物語とした――生まれたのである。

⇒ つづく(2)