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 シェイヴァー・ミステリーはレイ・パーマーがゴミ箱から捨てられた手紙を拾い上げたときにはじまった。数年の間、アメイジング・ストーリーズ誌やその他の雑誌に掲載されつづけた。SF年鑑には、論争を引き起こしたエピソードとして、その名を残すことになった。

 結局、シェイヴァー・ミステリーとは何だったのだろうか。

 パーマー自身がそれについて要約している。(あいかわらず誇張癖が感じられるが)

 シェイヴァー・ミステリーはユニークな位置に立っている。それは現代哲学の中核であり、すべての時代における謎の解答かもしれない。

 シェイヴァー・ミステリーとは何か。多くの理論がある。蜂の巣状の地下洞窟世界でシェイヴァーを助けた人々がいた。この洞窟は12000年前、毒にまみれた世界から逃げ出したタイタン・アトラン人種の遺産だった。また洞窟をアストラルと呼ぶ人々がいた。死者の魂、デロである。別の次元と考える人々もいる。われわれの世界と平行して存在する普通の環境下では見えない世界である。しかしどんなに食い違う意見があろうとも、シェイヴァー現象はリアルである。

 ジョスリン・ゴドウィンは著書『アルクトス』のなかで、ヴィジョナリー理論を支持する。

 多くの人は気質的に、物質的なリアリティの外側をイメージすることができない。大宗教は宇宙論において、こういった人々のことを考慮してきた。アストラル界を旅行する能力が与えられた、あるいはその能力にさいなまれた人々でさえ、この傾向から完全に免れることはできなかった。シェイヴァーやサンティヴのような人々は、ヴィジョンを取り下げて、地上の感覚を採用するのを拒むだろう。何を体験しているのかかれら自身わからないが、それはかれらの精神状態を反映しているのだ。

 言い換えるなら、シェイヴァーにはヴィジョンが見えた――隠された世界がかいまみえた――しかしそのことを認識するのは失敗した。

 懐疑主義者はそのような仮説をあざ笑うだろう。シェイヴァーはフィクション・ライターにすぎない、とかれらは言う。それ以上でも以下でもない、と。かれらはまた、シェイヴァーが文学的な影響を与えてきたことを指摘する。たとえばエドガー・ライス・バロウズやHP・ラブクラフト、エイブラム・メリットらが挙げられる。ダグ・スキナーによると、「これは何? シェイヴァーの復活?」のなかでつぎのように書かれている。

 シェイヴァーが規範としてきたのはエイブラム・メリットである。メリットは現代ではそれほど読まれていないが、20年代、30年代を通じて彼のファンタジー小説は絶大な人気があった。1919年の『ムーン・プール』にはじまり、地下の洞窟、失われた種族、古代の光線マシーン、貝殻の形のホバークラフト、その他の驚くべきものについての小説シリーズを生み出してきた。シェイヴァーは、メリットは洞窟を見たにちがいないと考えた。しかしそのことについてフィクションのなかで少し触れたにすぎなかった。あるいはメリットの小説がシェイヴァーに影響を与えたのかもしれなかった。

 そして最後の言葉がシェイヴァー自身に向けられる。洞窟の位置について間違ったことを、だれが許してしまったのか。

 しかし私はひとつのことにこだわる。それらは洞窟とトンネルである。私はこの目でそれらを見てきたのだ。これらの洞窟とトンネルは足の下にあるのではなかった、頭の上にあるのだ。それはこの世界とはまた違う、別の次元のことである。あなたは正しかった! しかしそれにもかかわらず、それは地球の、こも惑星の一部である。

 洞窟は存在する、とシェイヴァーは主張する。それは彼自身がその目で見たからである。見ることは、信じることである。


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