(6)

 家に帰るには早すぎた。ガイド役のミラとアルシとともにマギーはネフリの地底の国をあちこち回り、学びながら数週間を過ごした。彼女はネフリの間では貨幣が存在せず、物々交換システムが用いられていることを学んだ。彼女はガジョーヴァ、すなわち機械の部屋を見せてもらった。また彼女は驚くべき蔵書数を誇る中央図書館を訪ねた。そこで彼女はいくつかの印刷されたものを記念品としてもらった。

 ある日ミラとアルシとともに散歩に出た。なごやかなムードのなか三人は何人かの若者とともに弾丸カーに乗り込んだ。そして長いトンネルの中を疾走した。彼らは広々とした道路、麦畑、丈の高い木々の森がある田舎に到着した。頭上の「空」――巨大な洞窟の屋根――には小さな太陽が浮かんでいた。向こうには連なる山脈が見えた。その向こうには薄気味悪い赤い輝きがあった。目の前には塔が立っていて、そこから鐘の音が聞こえた。そこで彼らは踵をかえし、帰る途中でピクニックのランチを食べた。あとで知ったのだが、塔は境界線を示していた。ネフリは境界線を越えることが許されなかった。なぜそうなのかマギーにはわからなかった。

 ネフリはほかの惑星からやってきたということをマギーは知った。しかしほかの開拓者は――悪意ある者の影響を受けていた――ネフリの賢明なる支配を拒絶した。これら反逆者たち(われわれの先祖)と戦うよりは、洞窟世界へひきこもるほうをネフリは選んだのである。彼らはロボット労働者と火炎噴射器を使い、エリアを拡大し、人工的な太陽を作り出してきた。しかしながら彼らはいつの日か地上に戻り、そこにふたたび住むつもりだった。

 政府は高位の祭司によって営まれていた。彼は最高神タミルの代弁者だった。ネフリは大寺院でタミルを祀っていた。

 マギーはまた多くのネフリが地上に住んでいることを知った。しかし巨人族がどうしたら人目をひかずにすむのかわからなかった。そのことを聞くと、ミラは笑いながら答えてくれた。ネフリは光線を用いて自分自身をも縮めたり、伸ばしたりすることができるのだった。

 マギーがひどく驚いたのは、彼女の祖父もネフリだったことである。祖父は地上の女に恋してしまった。テレビの画面で彼女の姿に恋したのである。彼は自分自身を光線で縮め、地上に移り住み、女を探し出し、結婚したのである。女が死ぬと、祖父は地底に戻り、彼女が生き返るのを待った。

 

 


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