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 いまシーグマイスターにはあらたに気になることがあった。栄養学に対する思い入れは失せつつあった。それは1956年に出版した『破壊からの脱出』の中で説明された。批判的な目で見た場合、彼はこの本でたんなる変わり者であることをやめ、過激派の新しいスターになろうとしていた。

 『破壊からの脱出』は放射能の影響からいかに逃れるかについて書かれた本だった。シーグマイスターは、核実験は大気と大地を毒すると信じていた。核は切迫した問題だった。放射能の灰から逃れるためには三つの方法があると彼は宣言した。

 ひとつは、南米への脱出。核実験はほとんど北半球でおこなわれるからである。卓越風は南方へ流れて来る放射能の灰を食い止めるだろう。

 ふたつは、外宇宙への脱出――空飛ぶ円盤に乗って。このような解決法は一見ファンタジーの世界、SFの話と思われるかもしれない。しかしシーグマイスターは空飛ぶ円盤はここにいてわれわれを救ってくれると考えた。

 そしてみっつ。地球内部への脱出。

 

 もしも、あるいは将来、核戦争が起きて、空気は吸えなくなり、食べ物や水を摂取できなくなり、地球の表面に人間が住むことができなくなったとき、大惨事の生き残りは地球の内臓に避難することになるのではないか。

 

 このような可能性はあり得ない話ではない、とシーグマイスターは主張する。というのも、南米の地下には膨大なトンネルのネットワークがあると噂されていたからである(秘密の入口があるという<絶えない噂>があった)。これらのトンネルによってどこへ導かれるのか。

 

 (トンネルは)先史時代の種族の後裔がいまだに住んでいる地底の(彼らが建てた)都市へと通じている。この地底帝国はアガルタと呼ばれる。それは超人が住む地球内の天国と信じられている。

 

 アガルタは地球内部にあるのだ。そしてそれは核戦争の避難地になりえた。

 『破壊からの脱出』(生命智学の基本的な教条の論議を含んでいる)は1956年に出版された。翌年サンパウロの本屋で読み漁っていると、ブラジルの神智学者OC・ウゲニンが書いたアガルタと空飛ぶ円盤についての本を見つけた。ウゲニンによると、空飛ぶ円盤は外宇宙からやってくるのではなく、アガルタから来るのだという。核実験が心配なアガルタ人たちは状況を注意深く見守っているという。

 ウゲニンは彼らの社会を描く。

 

 (アガルタ人は)文明、経済組織、また社会的、文化的、精神的発展の極度に高い段階に達している。それとともに科学的進歩を遂げている。それに対し地球の表面に住む人類は野蛮な種族と考えられている。

 

 そして彼の説明によれば、彼らはアトランタ人の子孫だった。

 

 

 


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