秘宝を探して

スーフィー秘密集会

ピール・ヴィラヤト・イナーヤト・ハーン 宮本神酒男訳

 

創造

5.3 聖なる宝庫

質問者「神は徴(しるし)を通じて自身の姿を現すとあなたはおっしゃる。まわりを見回しても、あるいは心の中にも、形として徴(しるし)は見出される。この形を足がかりに神が何であるか知ることができるという。しかしどうやってその形から神を知ることができるのでしょうか」

 

エルサレムの岩のドーム*の信仰篤き者はイマーム*が復唱するクルアーンの語句のアヤー(しるし)について沈思黙考する。
*岩のドーム ユダヤ教やキリスト教徒の聖地跡に建てられたイスラム教の聖なる建物。
*イマーム イスラム教徒の集団の指導者。

「その宝庫がわれわれとともにないものはない」(クルアーン15章21)

 

スーフィーの一団は復唱する。
「神は神自身の形に似せてアダムを創られた」

 

イブン・アラビー「下界のものの形は、すべて天界のものの形に似ていることを知らなければならない。それぞれの形とそれと似たものとのあいだには、大きな距離などないのだ。神は宝庫から、われわれの知覚できない存在から知覚できる存在まで、あらゆるものをお与えくださった。それゆえ宝庫というのは物事の可能性をすべて含むということなのだ」

 

弟子(ムリード)「人はどうしたら二つの世界をつなげることができるのでしょうか」

 

ハズラト・イナーヤト「あなた自身のなかに飛び込むといいだろう。そこであなたは存在全体の統一に触ることができるだろうから」