今週の1枚 (1)  宮本神酒男 


ネパール・チャリコット 
聖なる山カリンチョクの入り口の町。屋根の上の「乗客」はすぐ先で降りるのだろうか 

*M7.8の大地震(2015年4月25日)のあと、M7.3の余震(5月12日)がネパールを襲った。その二日後(5月14日)、NHKの記者がはじめて入った現地の「被害の大きな町」は、チャリコットだった。
 カリンチョクに登るたびにこの町に来ていたので、私にとって思い入れのある町だ。昔、私はカリンチョク山頂近くに住むシェルパ族の娘と結婚しそうになったことがある。娘の父親から結婚の許可をもらったのだ。残念ながら結婚は実現しなかったが、ときどき結婚していたらどんな生活を送っていただろうかと考える。
 彼らは夏の4か月ぐらいは山頂付近で乳牛を放牧して過ごす。その乳から乳製品(おもにチェラと呼ばれる乾燥チーズ)を作るのである。その他の季節は、チャリコット郊外の家に住み、乳製品を売っている。こういう半定住、半遊牧の生活に自分も飛び込んでいたのだろうか。
 それにしてもNHKのニュース映像に映し出された町の中心部の建物の崩れ具合を見ると、被害がすさまじいことがわかる。悪夢を見ているかのようだ。どんなに心配したところで、何もできないことに無力感を覚える。


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