9つの太陽 

 はじめ天と地はつながっていて、ひとつのかたまりでした。のちに真ん中から飛び出たところが天に、くぼんだところが地になりました。また天のまわりは地といっしょになりました。天と地は結婚したのです。

 しばらくすると大地は9つの太陽を生みました。

 9つのうちの7つの太陽兄弟は、天と地がつながった場所に住んでいました。そこには大地と天に接する大きな石柱がありました。大地の水はすべてその石柱に集まっていました。7つの太陽兄弟が石柱を熱したので、上昇した水は沸騰してしまい、また大地に戻ってしまいました。そのため大地は洪水になり、たいへんな災害をもたらしたのです。

 2つの太陽兄弟は、天の父の懐にいだかれていたので、天の父の両目のように見えました。その両目は大地の母をじっと見ていました。

 ある日、太陽兄弟であり大地の子である動物と芋虫が桃を採っていました。芋虫は自分の子供と仲間みんなを鳥に付着させて桃を採らせていたのです。

 天上に太陽兄弟のひとりが住んでいました。その熱によって子供が死んでしまいました。鳥は激怒し、太陽兄弟に向かって矢を放ちました。それは太陽の目を射抜いたのです。この太陽兄弟はこのため二度と光を放てなくなりました。そのまつ毛は地上に落ちてニワトリになりました。

 これによって、天の父が懐にいだく光を放つ太陽はひとつだけとなりました。

 地上の人間や家畜はこの生き残った太陽のために労役をはたすことになりました。そのため昼間活動をするのです。

 森の中の動物や地中のネズミは太陽のために労役をはたすつもりはないので、夜、活動しているのです。(ロパ族)