アク・トンパ物語 

処女と寝る 

 

 チベットの家族はよく機織りを家に呼んで、機(はた)を織ってもらいます。トンパおじさんは機織り機で毛糸から衣服を織るのが得意でした。〔註:男性の機織りは珍しくなかった〕 あるときトンパおじさんは母と娘だけの家に呼ばれました。娘はとてもかわいかったうえに処女でした。

 トンパおじさんは数日間、機織りをしつづけました。その間何度も娘を誘惑しようとしたのですが、その都度拒まれてしまいました。しかしあるときおじさんに妙案が浮かびました。

 おじさんが家の玄関近くの機織り機の前に坐って織っているとき、トイレに行こうと二階から娘が下りてくるのがわかりました。彼女の姿が見えると、おじさんは機織りの速度を急に上げました。とてつもない速さで織っている姿を見た娘はいぶかしく思ってたずねました。

「どうしてそんなに急いでるの?」

「じつはトイレに行きたくて……。それでトイレに行く前にこのひと織りを終えたかったのです。だからです」

 おじさんはそう答えながら、相変わらず急ピッチで機織りをしています。手を休めないまま娘にたずねました。

「で、お嬢さんはどちらへ?」

「トイレに行くところです」

「それはちょうどよかった。トイレに行かれるなら、私のおしっこを持っていってもらえませんか?」

 娘は少し考えてこたえました。

「ええ、そうしましょう」

 そこでおじさんは娘に服を脱ぐように言い、彼女と交わりました。

 おじさんは事を終えると、また機織りに戻って仕事をつづけました。娘はトイレに行って、おじさんに頼まれたことをはたしているつもりでいました。それから台所へ行って母の晩ご飯の準備を手伝いました。彼女は母親に、トンパおじさんのためにしてあげたことをすべて話しました。

 母親はトンパおじさんのありえない話を聞いて頭に血が上り、娘に向かって声を荒げて言いました。

「まあ、なんてことを! いったいどこのだれが他人のおしっこを体で運べるというのですか! それはあなたが犯されたってことよ!」

 母にどなられた娘はすぐにトンパおじさんのところに行って叫びました。

「おしっこを運ばせるってウソだったのね! あたしとやっただけじゃないの!」

「いえいえ、ほんとうにお嬢さんは私のおしっこを運んだんですよ」

 しばらくいさかいがつづいたあと、おじさんは言いました。

「そんなにお嬢さんが気になさるようでしたら、そのおしっこを私に戻してください。そうしたらもう何も気がかりなことはなくなります」

 娘は考えました。「それも一計かもしれないわ。おしっこを返せばいいのね。そしたらもう汚くないし」

 彼女はトンパおじさんに言いました。

「じゃあ、いますぐ戻して」

 こうしておじさんは娘の服を脱がし、もう一度交わりました。