アク・トンパ物語 

新妻をひっかける 

 

 トンパおじさんの最初の妻が亡くなったあと、しばらくしてほかの女性と再婚しました。彼女との結婚生活は長くつづきました。おじさんの新しい妻はとてもかわいらしい、異なる男たちと寝るのが好きな女でした。おじさんはこのことにしばらく前から気づいていました。おじさんは仕事で家を留守にするとき、彼女にそういったことをやめさせようと、ある計略を考えつきました。

 計略を練り上げるまで、しばらく時間がかかりました。ある日おじさんは別の地方のゾンポン(知事)から呼び出しを受けました。機織りを依頼してきたのです。じつはおじさんは機織りが得意だったのです。おじさんは新妻を家に置いたまま別の地方へ行きました。

 おじさんは数か月その地方にとどまり、機織りをしました。ゾンポン(知事)はその仕事ぶりに満足し、おじさんにこう切り出しました。

「どうだね、ずっとここにとどまらないかね? ここに残る限り、仕事をあげるから」

 おじさんは興味をひかれながらも、言いました。

「ああ、ご主人さま、たしかにこちらに引っ越してきたいものです。でも解決しなければならない問題があるのです。おそらくあなたさまなら助けてくださるでしょう」

「何なのかね、それは」

「わたしの妻はとても美しいのです。じつに多くの男たちが彼女と寝たがっています。でも彼女と寝た男は、わたし以外、みな殺されているのです」

「それはどうしてだ?」

「妻は、何というか、普通ではないのです。じつは彼女の肛門に蛇が棲んでいて、彼女が男と寝るたびにそこから出てきて噛みつくのです。蛇は村ですでに七人を殺しました。もしここに引っ越して来たらおなじことが起こるのではないかと恐れるのです」

「では人を集めて警告いたそう。彼女に近づかないように言うとしよう」とゾンポン(知事)。

 おじさんは同意し、ここに引っ越すことにしました。まもなくしておじさんは妻と荷物を取りに自分の村に戻りました。おじさんがいない間、ゾンポン(知事)は人々を集め、おじさんの妻と寝てはいけないというお触れを出しました。

 家に戻ると、おじさんは新妻に生活が楽になるので違う村に引っ越したい旨を伝えました。彼らはしばらくあれこれと話し合っていましたが、突然おじさんが笑いだして言いました。

「引っ越し先の村の男たちがみな持っている奇妙なものって知ってるかい?」

「いえ、何?」

「すべての男がおちんちんを二本持っているのさ」

 妻は信じることができず、自分の目で確かめたいと言いました。

 ようやく新しい村に到着しました。おじさんは仕事が忙しく、毎朝早く家を出て、帰りは夜になりました。だから昼間は彼女ひとりで待っていなければなりませんでした。村の若い男たちはみな彼女に恋をし、彼女と寝たいと考えました。でもそうすると蛇に噛まれ、殺されると言われていたので、恐ろしくて近づけませんでした。

 ある夜、おじさんが不在のとき、ひとりの無鉄砲な若者が彼女と寝たいと思いました。彼は蛇に殺されない方法を考え付きました。彼は数人の友人といっしょに長くて太いロープを持って家にやってくると、屋根の上に登りました。友人たちはロープの一端を若者の腰にまわしてつけると、彼を天窓から新妻の部屋までおろしました。もし彼女の肛門から蛇が這って出てくれば、上に向かって合図を送るのです。瞬時に上からロープを引き上げれば、蛇に殺されずにすむというわけです。彼女は若者の姿を見てとても喜びました。彼らはすぐ寝床に行って、ねじまき運動をはじめました。

 彼女は仰向けになって受け入れていました。まぐわっているとき、彼女はふと考えました。「そういえば夫が言ってたわね。ここの男はみなおちんちんを二本持ってるって。でもこの若者は一本しか持ってないわ!」そこで彼女は指を這わせて二本目のおちんちんを探したのです。腿の下から手を伸ばしてまさぐりました。

 彼女の指が後ろから這って上がってきたとき、彼は驚いて叫び声をあげてしまいました。

「引っ張れ! 引っ張ってくれ! 蛇だ! 蛇が出てきたぞ!」

 屋根の上の男たちがあわててロープを引っ張り上げたので、若者の頭は激しく天窓にぶつかってしまいました。そのため若者の首はぽっきりと折れてしまい、瞬時に死んでしまったのです。

 翌日、村はおじさんの蛇によって若者が殺された話でもちきりでした。それ以降、おじさんはよそ者に侵入されることもなく、妻との生活を楽しむことができるようになりました。