意外なほどのアーティスティックな祭り、トン族花炮節
遊び心のある肉屋?
この手慣れた雰囲気からすると肉屋にちがいない。芸術という感覚はなかったかもしれない。トン族伝統文化の象徴である鼓楼の中で男は楽しそうに芸術作品を作り出した。春先に行われる花炮節は彼が創造力を発揮できる唯一の機会なのだろうか。
砂肝帽子をかぶり、センマイ(?)コートを羽織った釣り人。「よく考えたもんだろ?」という製作者の声が聞こえてきそうだ。彼が作っているとき、友人か親戚か、別の男が手を入れたがった。
もしアーティストが肉屋なら、この赤いブタも彼の作品に違いない。赤いブタがめでたさを象徴するのは中華世界では珍しくないが、この花の添え方には芸術心が感じられる。耳にさげている飾りも彼の作品なのだろうか。
あらためて写真を見直すと、鼓楼の前の捧げものの果物だって、なかなかの芸術作品である。これも肉屋アーティスト(?)の作品なのか。
この仮装している人の人力車(?)の飾られた椅子も凝っている。もしかすると花屋アーティストが作ったのか。するとこのおじさんが花屋でアーティストなのだろうか。現場にいるときも、あとで写真を眺めるときも、私は一度も製作者のことを気にしたことはなかったが、気にしだしたら、気になるものだ!
鼓楼のなかの飾りつけだってなかなかのものである。ここまで完成度が高いと、たんに手先が器用というよりは、専門職の人が作ったとみるべきだろう。しかし何の専門職なのか? 宗教儀礼の飾りつけの専門家だろうか?
ここまで気にしだすと、女の子たちの髪の飾りも気になってくる。さすがにこれは伝統的なものであり、クリエイティブの余地はないだろうけれど、長い年月のあいだに案外変わってきているものである。