(23)アイリーンの語る超感覚

 長い年月の間、X線や検流計(Galvanometer)、フルオロスコープ(fluoroscope)などさまざまな機械の上にアイリーンの体は置かれ、さらされてきた。しかし結局科学者たちは霊媒について理解することはできなかったとアイリーンは断じた。というのも科学者や医者は何か個人的なことにこだわりすぎ、客観的になることができなかったからだ。彼らの多くは心霊現象にたいしネガティブな感情をもち、ネガティブな結論を導き出そうとしていた。このようなアプローチではすべてが台無しになってしまうのではないかとアイリーンは感じた。

 子供時代からアイリーンは人間を含むすべての生き物の周囲を取り囲むオーラのようなものを見、感じることができた。すべての生き物は外側の肺で呼吸することができた。彼女は花も、他の植物や動物、人間と同様、息をするとき、光と色を帯びることに気がついた。色のオーラを彼女は見ることができたのだ。

 こうしたことからアイリーンは呼吸に注意を払うようになった。透視、透聴(clairaudience)、テレパシー、予知、どういった超能力の状態にも特別なテンポの呼吸によって入ることができた。どの医者も教えてくれなかったが、繊細な感覚状態を得るためには呼吸のコントロールが重要だと彼女は考えた。

 

 アイリーンは覚醒の度合いによって「意識の七段階」と呼ぶ段階があると考えた。

@胃の中央神経の反応。強烈な、原始的な欲望を伴う。

A太陽叢から上方、あるいは外側への動き、また背骨の底への後退を意識すること。これは強烈な欲望を維持と期待の喜ばしい状態へと変じることである。

B胴体が膨張する。血の巡りがよくなり、呼吸が激しくなる。そのあと脊柱が弛緩し、柔らかくなる。そして体中にあたたかく悦楽的な感覚が広がる。

C暖かい感覚が脊柱から首の後ろへ上昇する。そして頭蓋骨と脳に達する。

D額の後ろの空間がきれいになり、柔らかい光で満たされる。その色の変化は重要。新しい次元に入るが、それは色である。これによって平穏がもたらされ、すべての思考や時空、できごととのから解放される。これは受容の期間である。

E五感の促進と統一。透視が機能しはじめ、同調し、すべての感覚受容の速度が増す。額の後ろの小さな空間に光があらわれ、時空を超えて膨張していく。今日のできごとや明日起こること、百年前やそれ以前のことが現前する。額の後ろの空間に役者がいて、そこで生きているか遠い過去に生きていたかのようである。これらのパノラマのなかでは彼らの存在は、大きいか小さいかはともかく、はっきりしている。

Fこの意識レベルはもはや過程ではなく、新しい存在形態である。私は同時に自分以上であり自分以下である。このときこそ透視や予知、透聴、投影、千里眼が同時に起きているのだ。私はインスピレーションを得る。私は「一(いつ)」になる。映像で示される人生そのものになりきる。こうしてあらゆる人の人生の輪に意のままに達することができるのだ。

 

 アイリーンは語る。

「透視やテレパシーといった能力は基本的にアブノーマルではなく、すべての人間に備わったものです。それらは五感を発展させた結果であり、人類の進化の産物なのです。私はそれが真実であることを知っています。それは自分自身の体験からだけでなく、私が会った世界中の人々から得た知識なのです。彼らは一般的な、かつ現実的な人々です。しかしたまたま超常的な感覚を発展させてきたことが彼らの個人的な、あるいはプロフェッショナルの面を助けてきたのです」


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