(5)悪との戦い 

 ジャコモはリヴィアとともに、シャングリラの宮殿の奥の間に案内された。ここに待っていたのは不可思議な人物、コンウェイだった。コンウェイは僧であり、王であり、司令官だった。暗い金髪、濃いブルーの瞳をもった齢40の見目整った男だった。

 コンウェイは流暢なイタリア語をしゃべった。彼によれば、イタリア語の本がたくさん置いてあったからだという。あとでわかるのだが、叔父クラウディオの同志たちがシャングリラと関わっていたのである。ジャコモに白羽の矢がたったのも、こういった流れがあるからだった。

 コンラッドが明らかにしてくれたのは、世界の裏で善と悪の戦いが繰り広げられていることだった。世界の破壊をたくらむ悪の側の親玉は、なんと北朝鮮のキム・イルソンだった!

 こうしてジャコモは善側の実戦部隊として、北朝鮮に戦いを挑んでいく。大洋の戦闘に出動した艦艇の乗組員たちはみなクラウディオの同志だった退役軍人だった。年齢的には考えられないが、シャングリラで暮らすと、こうしていつまでも壮年のままでいられるのだ。

 小説の後半はこうして冒険活劇小説のように進んでいき、テーマからはずれていくので、割愛させていただく。

 


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