第19章 秘教的イエスの冒険
バラ十字会の神秘的イエス
(1)独創的なオカルティスト、H・スペンサー・ルイス
米ニュージャージー生まれの神秘主義者、AMORC(バラ十字会)の初代統領(インペレーター)ハーヴェイ・スペンサー・ルイス(1883−1939)が並の人間ではなかったことは、彼のいくつかの発明品を見ただけでわかる。
「ルクサトーン」(色オルガン)……マイクで拾った音を色彩に変換し、スクリーンに
映し出すシステム。
「宇宙線同時性カウンター」……ガイガー・カウンターの原型。
「共鳴ハープ」……共鳴を利用した12弦のヴァイオリン。
これらはエジソンの発明品のように役立つものとして考案されたというより、宇宙の神髄を知るための装置・仕掛けとでもいうべきものではなかろうか。ガイガー・カウンターの原型のような宇宙線カウンターは(本当にそう言えるのかどうか、そもそも私にはわからないが)たまたま実利的な発明だったのだろう。
霊的真理の求道者であったルイスにとって、イエスは「神の子、神の化身、主」であるだけでなく、偉大なる神秘家だった。彼は3300年前のエジプトのファラオ、アクナトン(アメンホテップ4世)を祖とするグレート・ホワイト・ブラザーフッド(大白色聖同胞団)という秘密教団が伝えてきたイエスの秘められた生涯を一冊の本にまとめた。これが『イエスの神秘的生涯』(1929 邦題は「古代聖典と秘伝記録によるイエスの知られざる生涯」)である。
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