142−143
(雪の中を馬や犬と歩きながら、ドゥクモはジョルに言った)
「じつはこのことを伝えるために、わたしはここに来たの」
(ジョルは無表情で聞いている)
「リン部落にたいへんな雪が降って、生活ができなくなったの」
(ここにいた犬たちと別れを告げる)
「だからあなたにお願いに来たの」
(ジョル、ニコニコしながらこたえる)
「問題ないよ、ただ……」
(ジョル、意味深な表情で)
「この馬を連れて競馬に参加したいんだ」
「どうぞご勝手に。競馬に参加するのは自由よ」(とドゥクモ、犬をかまいながら答える)
「やったあ、おれたち競馬に参加できるぞ」(とジョル、馬に話しかける)
(ジョル、馬とひそひそ話)
「馬よ、おまえなら勝てる。おまえは無敵だからな」「そしたらきれいな女の子がみなおまえのことを好きになるぞ」
「ジョル!」(とドゥクモ、おかんむり)
(ドゥクモ、ジョルの頭を叩く)
「やめてちょうだい!」「あひゃあ」
(たんこぶを作ったジョル、ふと気づく)
「そうだ、まだ馬に名前をつけていなかった」
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