忘れられた民、ロヒンギャ ハビブ・シディキ 

ロヒンギャ:われらの時代の忘れられた人々 

 道を外れたやりかたで人の土地を奪うのは、人の所有権を否定するということである。政府自体がそのような犯罪行為を実施するとしたら、こんなに恐ろしいことはないだろう。そのような犯罪行為のもっともはなはだしい例は、1948年に英国から独立して以来(とくにネ・ウィンが権力を得た1962年以来)、ビルマ(現在のミャンマー)を支配してきた政権によるものである。現代において、千年近くその地に暮らしてきた人々の基本的人権をないがしろにし、彼らに対しそこまで極悪非道で、非人間的で、野蛮な仕打ちをする政権は類を見ないだろう。犠牲者はアラカン(現在のラカイン)に住むイスラム教徒のロヒンギャ族である。彼らはわれらの時代の忘れられた人々となった。

 ミャンマーの軍事政権はロヒンギャが長い歴史、言語、遺産、文化、そして長い間アラカンで築き上げてきた独自の伝統があることを知ろうとしなかったし、他者にも知らせようとしなかった。彼らの犯罪的なプロパガンダを通じて、大多数を占める仏教徒のなかに支持を得て、ロヒンギャに関する誤情報を流しまくった。これにはナチのヨーゼフ・ゲッベルスも墓の中で笑い転げただろう。ニセ情報垂れ流しは功を奏し、もしあなたがビルマの仏教徒と話したら、彼、あるいは彼女が「ロヒンギャはアラカンに住む外国人だ。ビルマ人ではなく、バングラデシュ人だ」と答えるのは間違いない。警報を鳴らすレベルである。そのような主張に根拠はない。著名な学者であるアブドゥル・カリムはつぎのように書いている。

「実際のところ、ロヒンギャの先祖がアラカンにやってきたのは、記憶にないほどはるか遠い過去のことである」

 


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