21 インダス文字
インダス文化が書記システムをもっていたことは、遺跡から見つかっているおびただしい印からもあきらかである。アーリア人侵入説を基本としたとき、何も証明されていないにもかかわらず、それは非ヴェーダ語、おそらくドラヴィダ語だと考えられた。しかしいまでは後期の記号の大半が初期のブラフミ文字か古代サンスクリット語の文字、そしてそれらの中間期に属する発展途上の文字と考えられている。この文字の連続性はおなじ文字、おなじ文化であることを示している。
スバシュ・カクの研究によれば、その言語はインド・ヨーロッパ語が基本となっている。その属格(所有格)はインド・ヨーロッパ語なのであって、ドラヴィダ語ではない。しかし決定的な解明にいたるほどの長さの碑文は発見されていない。ちなみにカクはこの文字をサラスヴァティー文字と呼んでいる。