地球内部への旅 23 

ウォルター・シーグマイスター 

 

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 レイモンド・バーナード博士は1950年代、栄養学や形而上学の世界ではよく知られた存在だった。健康食品信奉者は薬草特効薬やベジタリアン主義、除草剤の危険性について書かれた彼の小冊子――自己出版で郵便によって配布された――を読んでいたのだ。哲学方面に興味がある人はピタゴラスの伝記やエッセネ派について書いた彼の文章を読んだかもしれないが。

 彼はもっと新しく、問題を含むテーマについて書き始めた。以前から彼を誹謗する者たちは彼を変わり者と決めつけていた。彼らは彼が精神的に正常であるかどうかを疑い始めていた。というのも彼は地球が空洞であると主張していたからである。地底深くは放射能の死の灰の避難地として使えるにちがいない、また地底深くには進化した文明――ユートピア社会――がある、と言い張ったのだ。彼はブラジルの多数のトンネルを通ってこの地底の領域に達することができると信じていた。そのブラジルに彼は外国人居住者として住んでいた。

 A. B.(文学士)、M. A.(文学修士)、Ph. D.(博士)のレイモンド・バーナード博士とはだれなのか。彼の仲間が知っているように、そしてアメリカの郵政当局はまだ知らないようだが、彼は実際のところウォルター・シーグマイスターなのである。

 1903年にユダヤ系ロシア人の移民の家庭に生まれたシーグマイスターは、ハーレムとブルックリンで育った。外科医であった父親は無宗教者で社会主義者だった(弟のエリーによればアナキスト、つまり無政府主義者)。ウォルターは両親の友人たちの過激思想にさらされることになったのである(友人リストには著名なアナキスト、エマ・ゴールドマンが含まれていた)。コロンビア大学卒業後、ウォルターはベジタリアンになった。また神智学や心霊主義その他のテーマの市民講座に通った。キャッツキル山地に「ネイチャー・コロニー」を創設した。そして1932年、教育の博士号を取った。

 論文のテーマはルドルフ・シュタイナー(シュタイナー教育の創設者)の教育学だった。シーグマイスターは教育学の道を進む予定だったようである。しかし彼はフロリダ南部へ行き、土地を購入し、もうひとつ自然のコロニーを創設することになった。

 

 


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