わが逮捕劇の顛末

ハミ事件とウイグル・シャーマン

 

深夜、多数の警官がわが部屋になだれ込む

 昨年の10月下旬某日深夜11時半、中国新疆ウイグル自治区ハミ市のホテルに宿泊していたとき、部屋のドアが壊れそうなほど激しく叩かれた。心の準備をしていた私は高まる鼓動をおさえながら、息を大きく吸って、数歩歩き、ドアをあけた。と、なだれこむように入ってきた8人の制服警官に私はつきとばされ、よろめいた。想定していた以上の人数と制服の威圧感に私は気圧されてしまった。鼓動が早鐘のように鳴り始めた。

 私は愛想笑いを浮かべようとしたが、顔がひきつっただけだった。先陣を切って部屋の中に入ってきたボスらしき警官は日本共産党の穀田恵二氏によく似ていた。穀田似は傲岸で横柄な物腰でソファにでんと坐り、

「おめえわかってるだろうな」
と(中国語で)啖呵を切り、たばこに火をつけた。


<補遺>
これで中国内での拘束は三度目となってしまったが、それとはべつに雲南省西北騰沖県の古永というミャンマーとの国境に近い小さな町で、同様に夜中、数人の制服警官が部屋に入ってきたことがある。このときはリス族の祭りを見るために来たのだが(閏月のため開催日時がわかりづらく、一ヵ月後に出直してもう一度古永、さらにもっと国境に近い地域へ入った)いまから考えると麻薬密輸者という疑いをかけられたのかもしれない。警官たちは横柄でみなタバコを吸いまくっていた。

→ 事前に警察が踏み込むとの情報あり
→ ウイグル族の村で見たシャーマン儀礼
→ 厳しい尋問に耐えて
→ なぜか逃亡生活