3 夢のお告げ 

 ルンジャパ王の青銅の城の外では、残酷な支配者の厳しい監視のもと、善良な人々は畑で働かされ、薬用の植物をあつめていました。労働者はひとりひとり一日のノルマを達成せねばならず、できなければ罰が待っていました。おかしなことに、病気になった労働者は、薬用植物の使用を禁じられていました。母親でさえ、子供に薬用の飲み物を与えることを禁じられていたのです。 

 ケサルが九首の蛇の魔物を退治したちょうどそのとき、城の内側に3つの不吉な予兆があらわれました。

「この奇妙な予兆は何を意味するのか? われわれは答えをみつけなければならない」と呪術師のひとりはつぶやきました。 

「こんな不吉なしるし、見たことがありません!」ともうひとりの呪術師は叫びました。しかし呪術師のなかでもっともすぐれた者でさえ、予兆の解釈ができなかったのです。 

「これはわれらのご先祖さまの神々からのメッセージじゃないかね」と、ルンジャパ王は言いました。「神々は夢の中でもっとはっきりとお告げを下すというであろう。だから今晩寝る前に、この奇妙な予兆について神々にたずねてみるとよい。あす、われわれは夢の中で答えを見つけることができるはずだ」 

 家臣たちはみなそのとおりだと思い、賛意を示して寝所へ向かいました。 

 みなが寝静まったころ、ケサルは若い天界の神霊に化け、ルンジャパ王の夢の中にあらわれました。 

「おお、無敵の王よ」とケサルは言いました。「おまえが不吉なしるしと考えるものを、恐れることはないぞ。これらの予兆は、さらなる繁栄を約束するものである。これらはおまえや呪術師の富と名声を予言しているのだ。あす、聖なる使者がおまえの国民の前にあらわれ、未来についてあきらかにするであろう」 

 夢が消えて行き、欲深いルンジャパ王は目覚めました。そして家臣たちを呼び、こう宣言しました。 

「わが臣民よ。夢の中に天界の使者があらわれた。しかし心配するにはおよばぬ。われわれの未来はいいことばかりだからな」 

 つづけてルンジャパ王は言いました。

「さあ、急いで食べ物と飲み物を準備せよ! ケチケチするな! あす神々の使者がやってきて、これら予兆の真の意味を教えてくれるだろう! この特別ゲストに喜んでもらえるよう、最善を尽くさねばならぬ」  

 

 
⇒ NEXT