インドに入り、チベット人巡礼団と会う

 インドには広大な荒地が広がり、クシャ草があらゆるところに生えていて、ところどころ孔雀を見かけた。あるときは一本道が伸びているように思えたのに、気がついたらクシャ草のなかに道を失っていることもあった。そんな道は孔雀が水や食べ物を探すうちにできあがったものだったのだ。ほかにも象、水牛、犀、猿、蛇など動物がたくさんいた。さまざまな色、種類の鳥もいた。また巨大な竹(smyug sdong chen po)、ビンロウ(go yu)、カリロク(a ru ra 蔵青果)、ニクズク(dza' ti)などの薬材、野菜や果物もじつに多くの種類が見られた。冬だというのに、雷雨が降ることがあった。奇異なことばかりだった。

 ある日たまたまチベットから巡礼の旅に来ていた僧の集団と出会った。彼らと仲良くなり、数日いっしょに歩いていると、荒れ果て、ひっそりとした村に通りかかった。村の中央に寺があり、なかは広かった。寺の中庭に我々一行は泊まることにした。



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