運命づけられた六世の北方行
賢人はかくのごとく言う。
奇妙な聖なる旅は果てしなくつづく
神さえなしえぬはるかなる旅路をたどる
賛嘆する気持ちを抑えることはできない
わずかなりとも書き写したく思う
尊者の聖なる巡礼はあまりにも規模が大きく、筆者にとってそれを記述するのは大海に浮かぶ粟のごとく無力である。ともかくここは尊者がドメ地方(現在の青海・甘粛)に到達して、衆生に福をもたらしたことについて記したい。
かつてダライラマ五世は夢を見た。ポタラ宮にひとりの兵士が現れた。あまりにも恐かったので、裏門から帽子もかぶらず、裸足で北方へ向かって逃げた。目を覚ましたあと、五世ははっきりとこう考えた。「いつかこういうことが本当に起こるだろう」と。
尊者の御言葉にも、「ポタラ山(アヴァローキテーシュヴァラの浄土)や……チベットの北方からさらに北方へ行くだろう、頼る主のいない衆生を救うために」とあった。
ここにはっきりと示されている。チベットというのはチベット十三万戸のことであり、北方とはドメ地方のこと、二番目の北方とはモンゴルを指している。それらの地方へ行って衆生を救うということである。
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