バガン壁画礼賛 バガンで途方に暮れる
<(ミンカバー)グービャウチー寺院> Myinkaba Gubyaukgyi
ミンカバー村はバガンの古都の隣りだというのに、牧歌的ないにしえの時が流れている。ここにもうひとつのグービャウチー寺院がひっそりと建っている。
村は王室のロマンスの舞台だった。のちに国王となる王子チャンシッターは、アノーヤター王(在位1044−1077)の怒りを買って逃亡していた時期があった。
チャンシッターが匿われた場所には、ひとりの僧侶と姪のタンブラがいた。チャンシッターは一目見て、美しいタンブラのとりこになった。彼が宮廷に呼び戻されたとき、タンブラは身重の体だった。別れ際に彼はタンブラに指輪を渡し、もしおなかの中の子が女の子だったらこの指輪を売ってその子を育てなさい、もし男の子だったら宮廷に連れてきなさい、と言った。
7年後、チャンシッターは王位に就いた。そのときタンブラは指輪をもち、幼い男の子を連れて宮廷にやってきた。チャンシッタは喜び、タンブラを王妃として迎え、トリローカヴァタムサカデーヴィ(三界の花冠)という称号を与えた。息子のラジャクマル(ヤーザ・クマール)にも愛情を注いだが、王位継承者には孫を指名した。
グービャウチー寺院に残る碑文によると、チャンシッター王はこの愛する王妃に3つの奴隷村を贈ったという。彼女が身罷ると、これらの村と王妃の装飾品は息子のラジャクマル(ヤーザ・クマール)に譲られた。
28年間の統治(1084−1113)ののち、チャンシッター王が死を間近にしたとき、ラジャクマル(ヤーザ・クマール)は王のために金のブッダを作った。そしてこの仏像を納めるためにこのグービャウチー寺院を建てたのである。
撮影の許可が得られなかったため、あまりいい写真がないのが残念だが、グービャウチーの意味する通り、寺院内の壁画はすばらしいものである。そこにはジャータカやブッダの生涯の物語が描かれているのである。