オーム・アー・フーン・ベンザ・グル・ペマ・シッディ・フーン

 

あるとき、奇跡を見せるため

王子は岩を投げた。

その岩は官僚の息子の頭に当たり、息子は死んだ。

官僚は王子の処罰を要求した。

王は相応の宝石を賠償として払ったが

官僚の心は癒されなかった。

だれもが王子を追い立て、毒の湖に追いやった。

王子は沈むどころか、いっそう光り輝いた。

人々は毒の山の頂上から王子を突き落とした。

しかし彼は傷ひとつ負わなかった。

毒蛇もまた王子を殺すことができなかった。

毒蛇は王子に食らいついたが、皮膚を破ることができなかった。

王子の身体のいかなる部分も牙によって貫かれることはなかった。

人々は白檀と胡麻油によって王子を焼き殺そうとした。

しかし炎は湖になったのである。

湖の中央には蓮の花があり、そこに王子は坐っていた。

王子は冷静沈着で、輝いていた。

 

集まった人々はみな驚き、感嘆の声をあげた。

「この威厳あるお方は、どんな危険な目に遭っても

微塵も恐怖をお示しにならない。

そして実際傷ひとつ負っていない!

以前王子は蓮の花のなかに発見された。

それゆえ至高なるブッダの生まれ変わりであることは

だれにも異論がないだろう」。

 

だれもが王子を褒めたたえ、敬礼し、

自身のまちがいを認め、祈り、供え物を捧げた。

王子は王位に就き、蓮華生として知られるようになった。

 

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