第4章 02 招魂(中) 亡魂返形呪術 

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 復礼の消滅と招魂呪術が未整理のまま流伝したことは、とてつもなく大きな影響をもたらした。復礼が淘汰された要因は、巫術を存続させてきた神秘性の喪失があげられるだろう。その他の招魂術に関しては、一般の人が操作することも運用することもできなかったので、神秘性が損なわれることはなく、そのまま存続し、発展することができた。これらの招魂術中、上流社会でもっとも影響が大きかったのは、亡霊をもとの形で出現させる返形呪術だった。

 招魂術が実践されているとき、巫師以外の傍観者は魂魄の姿を見ることができず、ただ巫師本人の憑依した状態や言葉、その他様子を見て招魂に成功したかどうかを見極めることになる。返形術の目的は傍観者に死者の姿を見てもらうことである。返形術によって召喚するのは形のない魂魄ではなく、目撃することのできる形のある魂魄である。このように返形術はより複雑でより高級な招魂術ということができる。ただ大巫師だけがまっとうすることのできる絶技秘法なのである。



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