知性
十分な確信を持って一歩また一歩と
知性(ブッディ)に導かれて三昧の頂上(みね)に登れ
そして心をただ一つ自己(アートマ―)に固定し
ほかの一切を思うな、考えるな
バガヴァッド・ギーター6・25
識別の力は――欲しいもの(あるいは欲しくないもの)の価値を知り、それを達成するために戦うべきかどうかどうかを理解する――心の視野を超えている。これはむしろ知性の機能である。
知性(サンスクリット語でブッディ buddhi)は、身体という馬車の手綱を握る。言い換えるなら、善と悪を、道徳と不道徳を、真実と幻影を、賛成と反対を区別できるように、心を導く能力である。
パン屋の前を通り過ぎるとき、そそられる香りが漂ってきたら、わが心はこの芳香を愉しいものとして解釈し、「これ欲しいな」と感じる。しかしもし自分が糖尿病患者なら、わが知性はそれがどんなにいい香りを放っていようとも、じっさいに食べることはないだろうと希望する。もし知性が適切に訓練されていなかったら、心の要求に負けて成り行きに任せてしまうかもしれない。