古代の王子の物語
バーガヴァタ・プラーナは小さな子供、プララドの物語を語っている。彼は記憶にとどめるためのシンプルな方法を示した。プララドの父親は強大な国王であり、神の概念を忌み嫌っていた。神は究極的に人心を操り、搾取し、恐怖政治で抑え込む彼の専制主義の障害にしかならなかった。彼のひねくれた心の中では、神の崇拝は魔物の種にしかならなかった。彼は息子に、後継者が敵に献身的なことに、我慢がならなかった。少年が父親の考え方に異を唱えたとき、国王は息子が成長して敵になるかもしれないと考えた。そうなる前に彼は息子を殺すことにした。
国王はさまざまな処刑の仕方を考案した。まずプララドは毒蛇がいる穴に投げ込まれた。しかしなんとか生き延びた彼を国王の姉の膝の上に坐らせた。彼女は火にも耐えられるすさまじいパワーを持っていた。しかし結果は、彼が生き延び、彼女は生き残ることができなかった。そのあと彼は崖から突き落とされた。こうした試みがすべて失敗したとき、国王はプララドの食べ物に毒を混ぜた。幼いプララドは神クリシュナに助けてくれるよう祈ることはなかった。むしろ彼は単純に感謝の念と愛をこめてクリシュナの名を唱えただけだった。クリシュナはいつも彼を守った。
プララドの父親が最後に殺害されたとき、クリシュナはプララドに彼が望むものを完全に与えようと言った。しかしプララドは何も望んでいない、愛しい至高の者の無限のやさしさを記憶するだけで満足だと述べた。「しかし」と彼は付け加えた。「もしあなたが喜んでくださるなら、わが父親の数知れない悪行を許し、あなたの至福の地で、あらゆる苦悩から永遠に逃れるようとりはからってください」