ビジネスマンの現代物語
親しい友人のひとり、リシケーシュはインドにおける先頭に立つ企業家であり、慈善家である。かつて彼の家族は国でもっとも成功した会社を経営していた。しかしながら、長年にわたる政府の政策の変化や経済状況の変化によって、おなじ分野のほかの多くの会社は経営をやめてしまった。そして高く尊敬する父親が引退すると、彼は実質的にひとりで会社を率いていくことになった。
彼は何年もかけて巨額の債務や複雑な法的問題、猛烈な攻撃と戦ってきたが、いつも必要に応じて人を助けるための時間は作った。十分注意を払って、彼は個人的に見返りを期待することなく、名声のためでもなく、無私無欲の奉仕のために、何千人もの人に手を差し伸べた。彼は徐々に会社を不安定な状態から救い出し、寡婦にシェルターを提供し、病人や死に行く人のケアをし、子供たちの教育のスポンサーとなり、困窮した家族がどうしたら経済的によくなるか相談に乗り、僧侶たちのためにアシュラムを提供し、霊感を得て信じ難いほどすばらしいスピリチュアルなプログラムを作った。こうしたことすべてをいつくしみと、威厳と、心を溶かすような謙虚な姿勢でやってのけたのである。けがれた池の底から生えてくる蓮の花のように、まわりの人々に希望と喜びを振り分けながら、平和的で誠実的でありつづけた。わたしはかつて彼にどうやったらこんなふうにできるのかと尋ねたことがある。目に無垢に輝かせ、落ち着いた笑みを浮かべながら彼は語った。「クリシュナと聖なる人々がたくさんの人々に与えているすべての祝福を思い出すのです」。彼の謙虚な答えによって、何が本当に価値があるのかがわかり、バガヴァッド・ギーターの中のクリシュナの確証を思い出すことができた。「いつも私のことを考えてください。そうすると間違いなくあなたは私のところへ来られるでしょう」
どんな状況で自分自身を見つけるにしても、わたしたちはこうして実践を通して人生における高次の目的を思い出し、意味と避難所と喜びを見つけることができるだろう。