2日目
巡礼者は6時に起床。お茶を準備し、テントをたたみ、荷をヤクに載せるのに要した時間はわずか1時間。出発し、進んでいくも、たびたび止まった。僧侶を含むヤクのあとを歩く人々は、積んだ荷がずれてくると、ヤクをとめ、縛りなおさなければならなかったのである。
ドクドゥ・ニャクカ(’Brog-bsdus nyag-kha)、すなわち「遊牧民が集めた梳き具」と呼ばれる峠に着くと、目の前はアニ・マチェンの北面である。この地点には巡礼者がどんどんたまり、彼らはしばらくとどまっている。
峠には目印となるケルンがあり、それはさまざまな色の旗(タルチョ)で覆われていた。男たちは杜松の葉をくべ、風馬(ルンタ)を飛ばした。男も女もすべての人が石(gnas-rdo ネド)を集めた。それは記念品として家に持ち帰るためか、ストゥーパの内部に安置するためだった。そうすることによって共同体に安寧と豊作がもたらされるのである。
峠から下りていくと、泉があった。人々はそこの土を集め、乾燥させる。それらは薬として使われるのだという。
夜、イェコグ川(gYas khog)を渡ると、多くの巡礼者は対岸にテントを建てる。歩いて川を渡る人はわずかである。共用の馬が置かれ、必要に応じて行き来していた。川を見下ろす丘の上に遊牧民はテントを張り、彼らの動物を見守った。
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