5日目 

 太陽が昇るとともに出発。グループではなく、それぞれのリズムにあわせて。巡礼者はみな馬を持っているが、馬を引きながら歩く。ただし川を渡るときはべつだが。

 この日、3時間歩いたあと、道を見下ろせる丘の上で立ち止る。私を受け入れてくれた家族のテントの近くに「外国人用」テントを建てるための場所があることを発見する。

すべてのテントがあっという間に建てられた。灯油によってぱっと火がつけられ、鍛冶師の鞴(ふいご)によって火が保たれた。お茶とザンパは即興で自由に供された。この家族のもとでは肉食は禁じられていた。巡礼のあいだは、肉を食べないことを誓っていたからである。

 われわれのキャンプは7つのテントから成っていた。犬は一匹もいなかった。昼間はグループの好きなメンバーと歩くことができたが、夜になると各家族がそれぞれの火を守った。グループはアニ・マチェンの北東のある場所から来た30人ほどの遊牧民から成っていた。全員が俗人でおなじキャンプのメンバーだった。

馬年のこの年、彼らは巡礼をすることに決めたが、だれにとっても生涯においてはじめての巡礼だった。馬に乗ってマチェンに達するまで3日を要し、ツェーナク・カンドから巡礼をはじめた。私を受け入れてくれた家族の構成は、夫婦とふたりの子ども、妻の兄弟とその子どもだった。

 天気はとてもいい。2、3人の女性がテントや衣類の補修にいそしんでいる。ひとりの老婦人が西方へ向かって五体投地をしている。ほかの遊牧民たちはテントからテントへと回ってはおしゃべりをしたり、歌ったりしている。

私のホストは巡礼ガイドを持っていたが、私のガイドと似ているかどうかを気にしているようだった。両方を読み比べるよう私に頼んできた。彼はまた小冊子を持っていたが、ふだんもっとも開いているのはそれだった。この小冊子は先に巡礼を終えていた彼の友人が書き留めたものらしい。友人はいくつかの聖地について記し、それぞれの場所でおこなう儀礼についても書き添えていた。筆写はほぼ正確だったが、ときには(綴りは不正確で)音のみ書き写されていた。


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