014015 

(馬上で手をあげ、えらそうなトトン)

「じゃあおまえが探しに行くといい! この広い草原、どこを探せばよいのだ?」

(真顔のトトン。背後に数々の妖魔)

「万が一にも魔国の軍隊と遭遇したらどうするのか。こんな妖魔たちと戦いたくはないぞ」

(トトンとギャツァの言い争いに割って入る赤い服の男の後ろ姿)

「ギャツァ、叔父と口論してはならぬ」

「しかし……」

センロン 

(赤い服の男、センロン。ケサルの養父となる。まじめそう)

「われらリン部落の兵士たるもの、どんなところへ行こうとも、から手で帰ってくる道理はござらぬ」

ロンツァ・タゲン 

(リン部落の総監ロンツァ・タゲン。長老で穏健派) 

「みな道理というものを持っておる。ひとつ占いをやってどうしたらいいか見てはどうかの」

(トトンとセンロンはそっぽを向いて立つ。ふたりは兄弟)

(トトン)「この荒野のなかでは、占いの道具もそろいませぬ」

(センロン)「トトンができぬというのなら、私がやってみせましょう」

(馬から下りるセンロン)

「矢占いをしてみましょう」

呪文:上方は吉祥の祭壇、世界を総べる占いの主 

呪文:ベーセ、トーセ、ダルセ、占いの三大戦神 

呪文:マサン、ニェン神、ゴンオン神、世事に長けたカムパよ、来て占いを教えよ 

(草地に作った祭壇の前でセンロンが呪文を唱える)

(トトンや総監は固唾を飲んで見守る)

(色とりどりの矢が入った矢筒を取り出す)

(センロンは一本の矢を両手に持つ)

「白い矢は吉祥を表わします。矢の方角に進めば、食事を取るくらいの労力で、つまり刀を抜くまでもなく、美女と宝物が手に入ります」


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