020−021
「なんと!」(とトトンはおおげさに驚く)
(うつろな目をしたトトン)
「ということは竜女か……」「この娘と結婚すれば竜宮の宝も手に入るということか……」
(背後から近づくセンロン)
「トトンよ、もう忘れてしまったのか」
(愕然とするトトン)
「探し当てた戦利品はみな私のものだと言ったのではないか」
(センロン、白ヤクとともにいるメトラツェに話しかける)
「竜女よ、あなたはすでに草原に嫁入りした身。つまり草原の習慣に従わなければならない」
「われらはゴク部落を滅ぼす必要があった。滅ぼしたゴク部落のすべては戦利品なのだ」
「あなたはゴク部落の首領の妻なのだから、われらの戦利品である。だからいっしょに来ていただく」
(ムッとした表情のメトラツェ。しかし落ち着いて語りだす)
「父母、配偶者、家、これらは前世で決まったものです。苦楽、禍福、富、これらの運命は定まっているのです」
「神仏の意思に従い、白ヤクに導かれてここに来ました。この白ヤクを馴らすことができたら、あなたについていきましょう」
「よろしい。白ヤクもまたわが宝ですから」
「白ヤクは竜族の家畜です。普通の人間が馴らすことはできませんわ」
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