036−037
数日後
(遊牧民のテント。中から声)
「ゴモよ、隠し通せるものではありません。子が生まれたことを人々に知らせねば」
「生まれたばかりなのになぜこんなに大きい? 奇跡だ!」
(赤子を抱く女性。後ろにギャツァ)
「ギャツァさま、この赤ん坊、あなたが好きみたいですよ。抱っこしてあげてください」
「え、おれが?」
(草を踏みつけるだれかの足と杖)
「どうしてリンの勇士は赤子を抱きたがらないの?」(とテントの中の声)
(テントの外。中の様子をうかがうトトン)
「そんなことないよ! おれに抱っこさせて!」(とテントの中の声)
(赤子を抱くギャツァ)
「この子は弟だ。おれに弟ができたのだ!」「われら兄弟、心をひとつにすれば、なんでもできる」
ジョル(本名トゥパガワ。天界では天神の子)
(天真爛漫な笑顔の赤ん坊)
(女たちの会話。メトラツェはニコニコしている)
「しばらくしたらセンロンさまが帰ってくる。そしたらもう抱っこできない。だからいま私に抱っこさせて!」
(メトラツェ、余裕の表情)
「うまくいってるわ」「ギャツァはジョルが気に入っているみたい。いい兄弟になるわ」
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